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「さて仕事すっかなー…」
薪割り洗濯客室掃除予約の確認買い出し…
あぁ数えるだけで嫌になってきた
「俺のこと嫌いなのは分かったけど高平家の鉄則は働かざる物食うべからず、だ。今はまァ急にこんな所に来ちまった訳だし混乱してるだろうから良いけどなー」
手をヒラヒラさせ部屋から出ていき、とりあえずはデスクワークから手をつけようと1階の事務所に足を進めた
階段に差し掛かろうとした時先ほどまでいた部屋からすすり泣く声が聞こえ、時々泣く声の合間に聞こえる親を求める声が胸を締め付けた
目を背け、何事もなかったかのように事務所に向かい机に置きっぱなしだった梵天丸の資料の上に手を置きそのままグシャリと握り、丸めるとゴミ箱に投げる
ゴミ箱の角に辺り中に入らず床に落ちた資料を横目に机に突っ伏し目を閉じた
「……………自分のガキ殺そうなんざ親のやることじゃねェよな…」
次男に家督を継がせようと幼い梵天丸を毒殺しようとした母親
正直考えられないな…
あれから気をとり直してデスクワークに励むが2階から聞こえるすすり泣く声が止まない事に眉を下げる
「……………仕方ねェ…」
重たい腰を上げ伸びをして、2階へ
泣き声がする部屋のドアを遠慮なしに開け、梵天丸に近づくと隣に腰を下ろす
びっくりして梵天丸は壁に寄るが気にせず
「梵天丸…って呼びにくいな」
「………………」
「梵で良いな?めんどくせーから」
「…ぶっ…ぶれ「ハイハイ」
子どもの言葉を遮ってケラケラ笑うのは大人気ないとは思いつつ
「梵!買い物行くぞ」
「……?」
「shoppingだshopping!梵に合う大きさの服なんてほとんど持ってねェしさ」
有無を言わさず腕をひっ掴むときっとまだ一番小さいであろうジャンパーを着せてやり、部屋を出る
コンパスの長さの違いで小走りで着いてくる梵天丸に時々目をやり子竜の慌てぶりに思わず笑みが溢れた
正面玄関から出て鍵を閉めるとペンションの隣にある車庫へ引っ張っていくと梵天丸は中を見て思わず涙を引っ込めた
「………ぅわぁ…」
歓喜の声をあげ目をキラキラさせる梵天丸の背中を軽く押してバイクの前に押し出す
「かっけーだろ?俺のbaby達だ」
「べ…べぃ?」
「ベイビー」
「べいびぃ?」
「うんうん。まー…意味的には赤ん坊って意味になっちまうんだけど…」
「お前の赤ん坊は厳ついな…」
「……………ごめん訂正する」
まさか素直に意味を取られるとは思っていなかった
子どもって怖い…
「どれが良い?」
「?」
「好きなの選べ。乗っけてやるから」
キーの束を指で回しながらへらっと笑ってやるとさっきまでの泣き虫子竜は何処へ行ったのか
楽しそうにバイクの周りを1台1台ぐるぐる回りながら見ている
「…こっ…これ…!」
右端のHarley-Davidson
また良いやつに目をつけたもんだ
「良い目してるよ梵」
将来有望だと笑って昔使っていた子ども用のヘルメットを梵天丸に被せてると不思議そうにヘルメットを叩いて遊んでいる
ハーレーを押して車庫から出すとさっきは気がつかなかったが今日は良い天気みたいだ