世界が変わる瞬間.book

□第弍話【天敵】
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「俺、天月要!宜しく!天音儷ちゃん!」

儷に手を差し出す要と名乗った男
何なんだコイツは

「・・・」

儷は少し固まったがフイッとそっぽを向く
その行動を見た要は唖然と固まり一言だけ呟いた

「・・・え」

暫くして儷は何もしてこない男子生徒に懲りたかとでも言うようにフンッと鼻で笑ってやるとそれがスイッチだったかの如く

「えー!どうして!?」

一瞬にして静寂に包まれていた中庭が喧しくなった…
静かにして欲しい。
それが儷の細やかな願いだった

頼むから帰って欲しい
それが儷の細やかでは無く本気の願いだった

「・・・」

だが・・・
無視して喋りかけるな感丸見えな儷だが男子生徒はそれを知ってか知らぬか
どうして?を連呼する
次はそれに痺れをきらした儷が男子生徒の胸ぐらに掴みかかった

「喋り・・・かけるな」
「・・・」

男子生徒は両手を挙げたまま固まりくりくりとした大きな目をこれでもかと言うぐらい見開きぱちくりと瞬きをした。

「いいな?分かったか・・・?五月蝿いんだよ・・・」

すると男子生徒は沢山の疑問符を頭の上に浮かべまた二回瞬きをすると何かを思い付いたように掌に拳を打ち付けて人差し指をたててこう言った

「照れてる!」
「おい・・・」

少し震えた声で話しかける儷に男子生徒は笑顔になり

「図星だ!」

その言葉を聞くと
儷の中で何かが切れゆっくりと手が上がった
終点まで着いたその手は素早く動き再びあの頭に居た物体を掴んだ

「あ!やめてよ!どうしてそんな事するんだよ!」
「・・・どうして?おい人間・・・そんな事言うなら、この白い物体持って私の目の前から消えろさっさと消えろ今すぐ消えろ」
「かーなーめ!白い物体じゃなくて太郎だってばぁ!」

儷の袖を掴み駄々をこねるように言った人間だったが呆気なく交わされ

「一緒だし私の勝手。消えろって言ったでしょ?帰れ」
「でもでも!教えたじゃん!太郎と僕の名前ー!」
「お前等なんか人間と文鳥で充分だ」

いや、勿体無いよ
と付け足して答えると暫く間が空いた

「ねぇ・・・だかr「帰れ」
「でも・・・「帰れ」
「だって「帰れ」
「えー…‥・・」

一瞬何故黙り込むのかと儷は考えたが暫く何も起きなかった
帰ったかと思い安堵のため息をついたとたん

「あ!…儷ちゃんほらっ!」

真後ろで声をかけられた
次は勢いよく振り向き大声で言ってやった

「いい加減!…帰れってっ・・・」

否、正確には言おうとした
その言葉は人間が儷の目の前に出した物によってその場に

「ふにゃぁー」

和みを与えた





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