世界が変わる瞬間.book

□第壱話【厄日】
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今年・・・
私は世に言う『高校生』になった

聖悄脳園大學付属高等學校

長ったらしいその高名は世間から
『聖脳大高校』と略されている。

聖脳=性能から来てるらしい
何が性能だ馬鹿らしい
そんな馬鹿な高名は気に入らない

けど、ここに入った理由はちゃんとある
それは此処、中庭が気に入ったから。
ただそれだけ、他に理由はない。

初めて此処に来た時は全然行く気も無かった。
高校にも、ましてや専門学校にも・・・
進学はしないはずだった。

けど・・・
中学で担任の教師に言われた事
それは・・・

『いくら頭が良くても最近は高校を出ないと就職先が無い』

らしい・・・それは困る。

そして知らない間に此処の体験入学に強制連衡されあまつさえ推薦入学の知らせが来ていた。
確信した・・・
あぁ成る程。
かの有名な進学校との相互関係が出来れば錆びたただの公立中も有名になるわけだ…

私は教師と言う名のレッテルを貼られたただの人間に利用されている?
最悪だ・・・

それに気付いた私は体験入学説明会を抜け出し帰ろうとした・・・

でも・・・あまりに校舎が広く興味無く教師の後をボケッと付いて行っていた私は案の定、迷っていた。

歩いていればいつか出られると思い辺りを彷徨(さまよ)っていると広い庭に出た。

その瞬間、私は此処に入る事を決めた。
それを教師に言えばまだ受かってもいないのに喜びあっと言う間に辺りに広がった。

この中学の校長らしい暇人な赤茶瓶は校内ですれ違う度に
『ありがとう、期待している』
などと言う
落ちてやろうか・・・
その度に思う私だが、如何せん私はあの中庭に行きたい。

そして、お前達の為じゃない。

その一言を残し私はこの腐れた中学を卒業した。

それから一ヶ月半が経ち
今はこの中庭の常連客になり、朝・昼・放課後ずっと毎日ここに居る。

勿論、授業はちゃんと受けている。
内申を落とされる挙句、留年は困る。

一定の時間に流れるチャイム、時々聞こえてくるアナウンスの音、静かな中庭に鳴り響く、その時が好きだ・・・

今は放課後、この学校では最も校内放送が多い時刻だ・・・
ほらまた流れた

「・・・あ。行かないと」

内申を落とされないように・・・
さぁ行こう

今から知識を無くした事を知らないインテレクチュアルのもとへ…

「めんどくさ……いやでも…」

内申を落とされる訳にはいかない…




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