Type-Zero

□第七話:心への葛藤
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「ごめんなさいっ!!!ごめんなさいっ!!!」
「許さん!!!今回ばかりは、絶対に許さんっ!!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!!!」

廊下にまで、響く声。薄暗い廊下にポツンと置かれたベンチには、蝶と猫が座っていた。
猫は俯き足をバタつかせていた。
二人は、扉から拓慧の声が聞こえると共に、少し体をビクつかせる。
そして、その度に互いの視線を合わせて、苦笑いを浮かべる。

『叶には、悪いことをしちゃったかしら…』
『でも、言い出したのが叶なのは間違いないし。拓慧に僕達の管理を任された叶が怒られるのは当然だと思うけど。』

自分のパートナーの悲痛な叫びが廊下に響く中、猫はいつもの感じでしれっとしていた。
それに少し違和感を感じた蝶だが、猫の言っていることも間違いではない。
しかし、自分が意思を持った今はそれを止めることも出来たはずだ…黒烏のように…。そう自分のことを戒める蝶の心を読んだのか、猫は不意に蝶の手を握った。

『気にしなくていいんだよ。僕たちは所詮…』

猫は悲しい表情で口を閉じた。
言いたいことは何となくだがわかった。

(道具…ですもの…)
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