Type-Zero

□第六話:情報屋・ガイル
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「ふむ…。さすがの蝶もコアまでは修復できなかったということか…」
『蝶は外傷専門だからね。外傷であれば失った部分も修復してくれるけど、内部の修復システムは記憶していなかったはずだよ。』
「そうか…参考にしておく。ありがとう。」

龍美の診察を受けて終わった猫は、ベットに座りながらカルテを書き込む龍美と話をしていた。

『大丈夫でしょ?』
「ふむ…外傷は確かに問題は無いが…」
『コアが心配?』
「あぁ、思っていたより損傷が激しい。くわえて、見たことの無い形状だから、下手にさわることも出来んしな…」
『大丈夫だよコアは。』

そう言い、ベットに腰をかけながら足をブラブラさせている。

『僕は、コアの自動修復機能が付いているからね。他の機体のように、定期メンテナンスなんていらないよ。』
「覚えておくよ。」

猫の言葉に笑顔でかえす龍美。

「しかし、あれだけ人間を拒絶していたのに、よくここに来る気になったな。」

龍美は猫の横に腰をかけると頭を撫でる。
猫は笑顔でゴロゴロとのどを鳴らして頬を赤らめる。

『人間だって、悪い奴ばかりじゃないって分かったからさ。それに…』
「それに?」

猫は突然悲しい目つきをして立ち上がった。

『姉様との約束だから…』

龍美には、猫がそれ以上言わなくても何が言いたいのか感じ取れた。
その哀愁漂う背中からは、何か大事な大きな使命感を背負わされているに違いないと感じた。

猫はそれ以上何も言うことなく『ありがとう、また遊びに来るね』と龍美に告げると部屋を出て行った。龍美も笑顔で手を振る。

猫が居なくなった後、龍美はパソコンの前に向かった。
【TopSecret】と書かれたフォルダを開きパスを入れる。

その中には多数のファイルがあった。龍美は迷わずに一つの映像ファイルを開く。

『T-Pの皆さん。今までありがとうございました。また、訪れることが出来れば、その時は…』

そこには一人の女性と猫に良く似た人物が映し出されていた。
龍美は、その映像を見て一言呟いた。

「帰ってきたよ。未来…。ようやく、お前との約束が果たせそうだ…」
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