Type-Zero

□第四話:交渉と拒絶
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晴れ渡る青空。優しく降り注ぐ太陽の光。まだ、気温が低く少し肌寒い朝。

T-Pの施設内にある広い体育スペース【フリーフロア】。ここでは、訓練生や戦闘員がパートナーの機体と触れ合える唯一の場として使われている。朝早くから来て触れ合いを楽しむ人は少なくは無い。

だが、この日だけは違った。訓練生のみがフリーフロアに集合している。がやがやと騒ぎ立てるわけでもなく、皆静かに並べられているパイプイスに腰を掛ける。その中に拓慧が居た。最後尾の椅子にきちんと座っている姿はとても初々しい。

そして、皆が椅子に座り終え何分か経ったころ、一人の白衣を着た女性が入室し、正面側の少し高くなった所に立つ。

「私は長い話が大嫌いだ。」

と言う言葉をはじめに、挨拶を手短に終え、本題に入る。

「申し遅れたが、私は管理人【近衛 龍美(このえ たつみ)】だ。この施設…いや組織に居る全ての機体を管理している。今日は、訓練生の中から、選抜されているお前達と機体の適合テストを行う。」

そして、龍美は事前に配布してある資料を開くように指示する。そこに記載されているのはアンケートの様な項目と解答用紙だった。

「機体との適合は精神的にも身体的にも負担がかかる。そこで、適合テストを行う前に、お前達がどれだけ機体の事を理解しているか確認させてもらう。」

そう告げると龍美は右手を上にかざした。

「制限時間は10分間。難しい問題ではない。全問正解者のみ、機体との適合テストを行う権利を与えよう。」

「始めっ!!!!」の言葉を合図に、必死にペンを走らせる。拓慧も内容の重要部分のみを読み取り、解答を記入する。解答形式はマークシート。よくある実力テストと似たようなものだ。

だが、制限時間は10分間。問題をきちんと読んでいる時間などない。焦る者、半分諦めている者、様々だ。

「残り3分。」

拓慧にも焦りが見えはじめた。内容は簡単だ。基礎知識さえあれば、問題ない。拓慧は自分を落ち着かせながら、進めていく。
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