Type-Zero
□第三話:すれ違う思い
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「ここは?」
『オレタチガセワニナッテイルシセツ…イヤ…ソシキダ』
「組織?」
一同は、岩場の小さな洞穴に設置された金庫のような扉の前に辿り着いた。
拓慧は扉の横にある小さな箱のようなものにカードキーを通して、暗証番号を入力した。すると、扉は音も無くゆっくりと開き、中には地下へと通じる階段がある。
「ぼさっとするな。そう長い時間開けていられないんだ。」
物珍しそうに扉を見つめている猫を急かす。
「ごめん」と一言言うと、先を行く黒烏の後を着いて行く。その後ろに拓慧が続く。
コッコッ…
狭い通路に足音が響く。岩を人工的に刳り貫いた薄暗い通路は肌寒く、少し寂しげな雰囲気を放っている。
「ねぇ…まだぁ?」
同じ景色に飽きたのか、猫は退屈そうに呟いた。
だが、黒烏も拓慧も無言で歩き続けている。
「ねぇってば…」