AAA〜トリプルA〜

□第五話:僕と焔とお姉様
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「心配しなくても、こんな見るからに弱そうな子供(ガキ)なぞ、眼中にないわ」













「だからやめなさい」とセレスお姉様は続けていたが、僕の耳には届かなかった。
なぜ、告白していないのに振られてるんだよ…

そして、なぜ僕の心にこんなにも大きな穴が開いてしまったのだろう…

僕の様子が変わったのに気が付いたのか、立ち上がる手伝いをしてくれたのは、焔だった。

「だいじょうぶ?」と聞いてくれはしたが、その表情には明らかに『ざまぁみろ』とかかれていた。

くそっ!!してやられたっ!!
きっとこの感情も読み取られているんだろうな。

僕は椅子に戻ると、先ほどのことがなかったかのように微笑んでいるセレスお姉様が怖くなってきた。
しかし、そうも言ってられず、話を元に戻す。
横には、焔も座っていた。

「話がそれましたが、麻木様は、左近よりこの世界の歴史に付いてお話を伺っておいでかと思います。」

僕は首を立てに振り「はい」と答える。

「麻木様には、この世界を救うために先ず、ガイアの救出をお願いいたしたく…」
「待ってください!セレス様!」

セレスお姉様の言葉を焔がさえぎった。

「こいつからは、魔力が微塵も感じられない。まずは、魔力をつけることを優先するべきでは…」

「それもそうね。」とセレスお姉様は頷いた。
少し、焔がうれしそうだ。

「通常、人間が魔力を身につける事は出来ません。ですので、精霊の力をお借りしましょう。」
「精霊の力を借りる?」
「そうです。魔力を持たぬものが魔族に打ち勝つ方法はありません。魔族の強大な魔力に対抗するには、最低でも身を守るくらいの魔力は必要となります。そのために精霊の力をお借りするのです。」

「具体的には?」と問うと、焔がどこから出してきたのか、鍵を束を机の上に置いた。

「精霊は、次元の狭間を超えたその先に居る。でも、魔力を持たない人間が、精霊と会話することは出来ない。会話をするためには、精霊石が必要になる。まずは、精霊と交渉するために、エルフ族から、麻木専用の精霊石を作ってもらう。精霊探しはそれからだな。」
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