小説
□子鬼
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「あ、ジャンプ買いに行くの忘れてた。」
「そんなのいいじゃないですか。たまに買わなくたって死にやしませんよ。」
「いや死ぬ死ぬ!これ俺の死活問題だから。一回買わないと死ぬようなもんだから。ジャンプ界から置いて行かれちゃうからね!」
「やーヨ!銀ちゃん、今日は一日中遊んでくれるって言ったネ!今さらやっぱなしなんてした暁には銀ちゃんの天パを一本も残さず抜き取ってやるからナ!」
「それじゃあお前の親父と同じ髪型になっちまうじゃねーかよ。」
「それが嫌なら遊園地連れてくネ!」
そう、だから俺はこうしてこいつらと一緒に電車に乗っているのだ。
遊園地なんてろくなもんじゃねえ。
まず行くのに金がかかる。こっちはお客様なんだから遊園地から出向いてこいや。
「ねえ銀ちゃん、あれ何アルか?」
神楽は電車の窓に張り付くように椅子に正座して外を見ていた。
「ああ、あれな。あれはあれだよ。観覧車。」
ああ、そっか。こいつは本当に遊園地に行くのが初めてなのか。
次第に見えてきた遊園地に神楽ははしゃぐはしゃぐ。そりゃあ馬鹿みてえ。
新八は…寝ている。
こいつのことだから、なんだかんだ言いつつきっと、楽しみで眠られなかったというのがオチだろう。
どいつもこいつもガキだなあ。とは思いつつも、子供らしいは子供らしいでとてもいいことだと思った。お前らは幸せだな。でもそれは俺に幸せを与えているのだから、お前たちはある意味、銀さんの幸せそのものだよ。うん。俺、今いいこと言った。
「ほら、降りるぞ。」
まだはしゃぎっぱなしの神楽に言って、電車に揺られてオヤスミな新八の足を蹴った。