小説
□雛祭り
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3月3日は雛祭りって姉御から聞いた。
なんでも女の子の日らしい。
「ねえ銀ちゃーん、うちにはお雛様無いアルか?」
「は?ねーよ、そんなもん。」
「しおりちゃん家はあるのになー、ひなあられ食べ放題なのに。」
「よそはよそ、うちはうち!」
「だってお雛様出さないとお嫁に行けないって言うヨ。永遠パラサイトして欲しいアルか?」
「……。」
「ねえ銀ちゃん」
「……。」
「聞いてんのかヨ、天パ」
「あ゛、お前がうるさいからまがっちまっただろーが!」
「さっきから何やってるアル。シコしこシコしこ。シコっぱちの次はシコ時アルか?」
「ホラよ。頼むからさっさと出てってくれよな。」
銀ちゃんがそう言って私に差し出したのは、広告で折ったお内裏様とお雛様。
「これ…銀ちゃん…不器用アル。」
「ばっ、おめえ銀さん相当うまいからね。そこら辺のオッサンの数十倍うまいから。」
「そこら辺のオッサンって基準がわかんねーヨ。」
「こんにちはー。」
扉の開く音とともに眼鏡(新八)やってきた。
(いや!カッコの中身と本文逆じゃね!)
「今日は雛祭りだから、僕折り紙で作って来たんですよ、お雛様」
「ぬを!マジでか!」
「はい。」
新八が渡してきたのは…
「何アルか?これ。」
「だから、お雛様とお内裏様。」
…魚かと思った。
今日は4つ、私の部屋(押し入れ)に貼るものが増えた。