小説

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「せんせー、暑いんですが。」
「それはこっちも同じ。」


まだ春の陽気、桜が散り、緑の葉が太陽の光を浴びて暖かな光を生み出している。
少し陽は落ち気味でも、まだまだ熱気は地球の表面に残っていた。

教室では1人の男子生徒と教師が教卓と複数の机・椅子を挟んで向かいあっていた。いうなれば生徒が1人だけで授業を受けているような光景である。


「沖田くん、いい加減利口になりなよ。残りがツラいんだったらちゃんと授業を受けなさい!せめてお偉いさんが見物に来てる時は。」
「嫌でさァ。授業も同じくらいだりーんで。それに、これから土方とツラ付き合わせて部活するよりはずっとマシなんで。」


ほんの少し、空気が変わる。銀八は沖田を睨むように見た。

「結局沖田くんは土方くんのこと好きだよね。」

さらっと吐かれた言葉だ。しかし、沖田にはそれを流すことはできなかった。

「俺はアイツなんかより先生の方が好きですぜ?じゃなきゃ…こんなとこにいるわけねーじゃないですか。」


沖田が言うと、銀八はにやけた。あからさまに悪いことを考えている。沖田にとって。

「じゃあさ、ちゅーしてくれたら信じる。」

「俺たちは恋人ですかィ?」

沖田が呆れたような顔をすれば、銀八はまた不貞腐れた顔になり、じゃあやっぱり土方くんが好きなんじゃん、と呟きだす。

「チッ、じゃあ目、瞑ってくだせェ。」

沖田が言えば、銀八は大人しく目を瞑り、唇をつきだした。


沖田は仕方なし、といった感じで銀八に近寄り、唇を合わせた。

一瞬に終わった行為に、銀八は酔いしれ、沖田は…別になにも感じなかった。


「いつもいつも、めんどくさい人ですねィ…。」



これはただの、いつものこと。

沖田が毎日繰り返し生きてきた道だった。
何一つ変わらない、日常。




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(俺の特別な日を)
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