小説

□夢が夢でなくなるとき
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夢を見る


毎日決まってお前が出てくる。
総悟、お前が俺に向かって「好きだ」なんて言うんだ。
俺は信じられなくて必ず頬をつねる。
案の定、痛みはやってこない。だからこれは夢なんだ、と言い聞かせる。いや、夢だった。

総悟、お前はいつもどんな夢を見る?
俺はいつもお前の夢を見る。お前が俺と恋人で、お前は普段の可愛くない愛情表現(だと俺は思ってる)を止めて、お前が素直な言葉を俺に言う。
そして俺はお前のその言葉に応えるんだ。「ああ、俺も好きだ。」それから俺たちはその言葉を紡いだ唇を重ね合わせる。

俺はその瞬間が一番幸せだ

お前の気の強い紅い瞳が間近で柔らかくなる。



でもそれも全部全部、夢なんだ。

俺がどれだけお前に愛を伝えても、どれだけそのお前に愛しい想いを抱いても、全部夢。

叶わない

俺はいつも、一つの夢を見ていた。

寝ている時も、

起きている時も、

ずっとお前のことばかり。

お前と恋人になれたら…

そう思う。



「あれ?土方さん、いつもに劣らず間の抜けた顔してやすぜ。」

ほら、あれもやはり、夢だった。

「あ…土方さん、」

「なんだ、そ…」


唇に柔らかい感触。
柔らかい紅い瞳。
くすぐったく触れる髪。

離れていく顔。

「何だか知りやせんけど…元気出して下せェ。」

どこか、はにかんだような顔をした総悟は、廊下を歩き、遠ざかっていった。


夢が夢でなくなるとき

俺はまだ、実感が湧かない
(そ、総悟、もう一回…!)(何ですかィ?気色悪ィ…)


企画提出:愛を唄うより

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