小説
□生きる
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それはまだ、その戦争が負け戦だとか、絶望的だとか、そんなことがはっきりとはせず、ただ戦うことに熱中していた頃だった。
1つの家屋で1つの抵抗勢力がくつろいでいた。
いつの間にかその家屋中に1つの話題が流れていた。
その話題を例に漏れず、語る四人がいた。
「なあ、おんしらはこの戦が終わったらどうするんじゃ?」
一番背の高い、頭のモジャモジャの坂本辰馬が聞いた。
「戦が終わったら、か…。今まで考えもしなかったな…。銀時、貴様はどうする。」
坂本の問いを受け、流したのはロン毛の桂小太郎。
「ああ?俺は今に生きてるんですー。終わったらとか考えてると死ぬぞ、バカ。」
銀髪天パ坂田銀時によって話は終わりを迎えたかのように思われた。
「晋助はどうじゃ?」
辰馬が振ったのはさっきから黙っていたもう一人の青年、高杉晋助。
「…生きる」
「「「は?」」」
三人が一斉に聞き返した。
「はっはっは…さすが晋助じゃ!こりゃあ一本取られたのー!」
ばか笑いする辰馬にポカンとする銀時と小太郎。
しかし高杉という人間にはあまりに合わない言葉だと気づき、途端面白くなり、笑い出す。
「チッ、テメェらはどうなんだよ」
笑い立てる三人に不機嫌に高杉は返した。
「俺も"生きる"。高杉、貴様と同じだ。」
「お、俺は甘いモンでも食ってのんびり"生きる"。晋ちゃんと一緒だよーん」
「わしは船に乗りながら"生きる"。晋助に変わりは無いぜよ!」
結局高杉のマネのように留まったために、また機嫌を悪化させた。
でも…
(みんな生きる、生き残る)
それだけは確かだと確信し、結局は高杉も笑いの渦の中心となった。