小説
□あくまで妄想
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姉上が風邪をひいた。
滅多に風邪なんかひかない姉上がだ。
だから僕は心配で今日は万事屋に行かず、自宅で姉上の看病をすることにし、銀さんにその旨を電話で伝えた。
『ホントおまえシスコンだなー。ま、おまえ1人いなくても?平気だからご自由にどうぞー。』
なんて言われる仕舞いだったが、シスコンと言われてもいいからとにかく姉上が心配だった。
「新ちゃん、別に微熱に咳くらいなんだから平気よ?銀さん家に行ってきなさいよ。」
と姉上も言うが、あの姉上が風邪をひくという緊急事態に僕はその言葉も飲み込まない。
「いいんです!姉上は寝ててください!」
と強引に再び布団に戻らせれば
「大袈裟なんだから…」
と言いつつ布団にしっかり入る姉上。
もちろん僕はあの面倒くさがりの銀さんが見舞いにやってくるわけもないと思っていた。
しかし午後、あの銀髪を揺らして、神楽ちゃんと一緒にやってきた。
家にあげてから皮肉ったれる。
「まさか銀さんが来てくれるとは思いませんでしたよ。」
「いや、俺は嫌だったんだけど神楽がどうしても行くっつってな?しっかし、バカは風邪ひかないっていうけどあれウソだったん…」
銀さんは言葉を続けられなかった。
もちろん薙刀常備の姉上がいつの間に玄関まで来て銀さんの目の前にそれをドスッと振り下ろしたからだ。
「あ、姉上!ダメですよ、暴れちゃ!ほら、銀さんもあんまり変なこと言わないでくださいよ!」
「だって新ちゃん…銀さんったらこの私に侮辱の言葉を言ったのよ?股間の1つや2つ、切り刻まれたって仕方ないじゃない?」
相変わらずの笑顔で言う姉上。
「いや、股間は1つしかありませんから…。」
「ま、元気そうで何よりじゃねーか。」
相変わらずやはり適当な銀さん。やはり結局いつも疲れるのはツッコミの僕なんだ。
「さあ、姉上、布団に戻ってください。」
布団に入れるようにと掛け布団を再び持ち上げるとそこにまたややこしいのが出現した。
メキメキッ
「テメェ人の布団で何してんだ?アァ?」
姉上の布団にいつのまにゴリラが。
そしてそのゴリラの頭に姉上が足を乗せていた。というか踏み潰そうとしていた。
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