小説

□決意
2ページ/2ページ




屯所に帰ると近藤さんが駆け寄ってきた。


「大丈夫か!トシ!総悟!」


「全然ピンピンしてやすぜ?こいつは死にましたけど。」

「いや、生きてるから」


土方さんはツッコミをするほど元気だ。ウザいのでいい加減土方さんの腕をとりあえず払い除けた。



「総悟…、斬ったのか?」



近藤さんが聞いてきた。
近藤さんは、俺が人を斬ったと聞いたらどんな反応をするだろうか。

あんなに俺をかわいがってくれた、あるいはくれている近藤さんは、一体どんな反応を…。

俺を嫌いになるだろうか?


汚いと思うだろうか?




声を出すことが恐ろしかったので、軽く頷いた。



次の瞬間には何が起きたのか。




(ああ、懐かしい)





近藤さんに抱き締められていた。
さすがに最近抱き締められることが無かったので懐かしいのだ。
昔はよくこうしてもらった。



「よく…頑張ったな」



そのままいつもみたいに俺の頭をガシガシ撫でて、背中をポンポンと言うよりドンドンと叩いた。


「痛いです、近藤さん」


「おおわりー、わりー」

そう言っていつもみたいにガハハと笑う。





(この人を守りたい)


心の奥底、普段閉まっているところから声がした。





俺の決意は揺らがない。



────────


オイ、総悟。俺の手当ては?

あ、忘れてた。
荒療治ですがこれで。

おまっ、それ塩ォオオ!

荒療治だけに粗塩ですぜ

全然おもしろくねェから!

おもしろさなんて狙ってねーんで。ただ土方さんの苦しむ顔を…。

(お前を信じた俺がバカだった…)



─────ちゃんちゃん
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ