小説
□決意
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屯所に帰ると近藤さんが駆け寄ってきた。
「大丈夫か!トシ!総悟!」
「全然ピンピンしてやすぜ?こいつは死にましたけど。」
「いや、生きてるから」
土方さんはツッコミをするほど元気だ。ウザいのでいい加減土方さんの腕をとりあえず払い除けた。
「総悟…、斬ったのか?」
近藤さんが聞いてきた。
近藤さんは、俺が人を斬ったと聞いたらどんな反応をするだろうか。
あんなに俺をかわいがってくれた、あるいはくれている近藤さんは、一体どんな反応を…。
俺を嫌いになるだろうか?
汚いと思うだろうか?
声を出すことが恐ろしかったので、軽く頷いた。
次の瞬間には何が起きたのか。
(ああ、懐かしい)
近藤さんに抱き締められていた。
さすがに最近抱き締められることが無かったので懐かしいのだ。
昔はよくこうしてもらった。
「よく…頑張ったな」
そのままいつもみたいに俺の頭をガシガシ撫でて、背中をポンポンと言うよりドンドンと叩いた。
「痛いです、近藤さん」
「おおわりー、わりー」
そう言っていつもみたいにガハハと笑う。
(この人を守りたい)
心の奥底、普段閉まっているところから声がした。
俺の決意は揺らがない。
────────
オイ、総悟。俺の手当ては?
あ、忘れてた。
荒療治ですがこれで。
おまっ、それ塩ォオオ!
荒療治だけに粗塩ですぜ
全然おもしろくねェから!
おもしろさなんて狙ってねーんで。ただ土方さんの苦しむ顔を…。
(お前を信じた俺がバカだった…)
─────ちゃんちゃん