小説
□つまりは妄想
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「あ、近藤さん」
「おや、新八くんじゃないか。どうだ?家族会議でもしにファミレス行かないか?俺がおごるから。」
非常においしい申し出だがこれを受けるわけにはいかない。姉上が恐い。
「まあせっかくここで会ったんだし、お邪魔するとするか!」
「え!今の僕の沈黙の間に何方針変えてるんですか!」
「いやあ、悪いねえ新八くん。」
「だからダメだって言ってるじゃないですか!」
「いやあ、何か買ってこうと思うんだけど何がいいかな」
「聞いてねーよ人の話。」
近藤さんはガハハと笑って僕の頭をポンポンと叩き、いいではないか、義弟よ、と言ってまたガハハと笑った。
確かに近藤さんはいい人だ。姉上のことが本当に好きだから姉上にあんなに酷い仕打ちをされてもまだストーカーをしている。
もしも、
もしもこの人が僕の義兄さんになったら…
きっと優しいいい義兄さんとなるだろう。
姉上ももし、近藤さんのことを好きなら…
姉上も幸せになる。
あくまでもしもの話だけど。
ちょっと、ちょっとだけ…
(応援したいかも…。)
そんな人の気も知れずに、今日も近藤さんは姉上に殴り、あるいは蹴り飛ばされるのだ。
(やっぱ無理、だな。)
「ははは…。」
つい溢れた笑い。
僕のあり得ない想像。
──────
実は新八はそんなことを思っているのでは?とたまーに思う。