戦国小十佐
□陵辱の檻
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〜外伝・こじゅ物語より妄想〜
≪陵辱の檻≫
「んあっ・・・ぅああっ!」
卑猥な水音と、鼻につく香の香りがまとわりつく、ただ気持ち悪いだけの空間。
「っ、は、ああっ・・・」
松永久秀は毎晩のように、ここを訪れていた。
最近、新たにひとつ、宝を手に入れたのだ。
それも極上の。
松永に背中から貫かれ、獣のように茜色の髪を振り乱して喘ぐそれは、今一番の気に入りの品。
「・・・・・・なるほど」
視界を奪われると感覚が鋭くなるから、行為の時などは特に快感が強くなるものだと。
耳にした時は、下賤の民の戯れ言が・・・・・・と思っていたが。
「強ち間違いではないようだ」
腰を揺らめかせ、艶のある声で男を誘う淫らな痴態に、まんざらでもない、と松永は笑みを浮かべた。
「んっ、や、ああっ・・・」
松永の予想出来ない意地悪な動きに、確かにいつもより乱れているようにも見える。
特に、この宝は『忍び』と呼ばれていた物。
確か名を猿飛佐助とかいったか・・・。
人一倍感覚が強い故に、快楽が与える苦痛も計り知れない。
「・・・・・・っ !!」
もどかしい程ゆっくりと引き抜くと、声にならない快感が襲いかかり、佐助の呼吸が止まった。
次の瞬間、松永は激しくその腰を打ちつけた。
「ゃ、ぁ・・・ぅあああっ!!」
極上の宝から、最高級の悲鳴を絞りとると、満足そうに松永はその最奥に欲望を迸らせた。
「ぅ・・・・・・ん・・・」
身体の支えを失い、ぐったりと佐助は床に倒れ込んだ。
目隠しをようやく解かれ、薄く瞳を開けると、残忍な程不気味に笑う松永の顔が視界に入った。
死ぬ事に恐怖はない。
たとえ身体を傷つけられようが、快楽を植え付けられようが、どんな拷問にも耐えられる。
だが。
これは違う。
この松永という男には、情報を吐かせる為だとか、佐助を愛しているとか、そういった目的が一切ない。
ただ遊んでいるのだ・・・子供のように。
手管を変え、辱める為の玩具を変え、ただ快楽に悶え苦しむ佐助を見て、楽しんでいる。
限界、だ。
逃げる体力は勿論の事、
目的のない責苦に耐えられる忍耐力も尽きてしまった。
ごめん・・・。
生きると決めたのに。
あんたの知らない所で絶対に死なないと誓った主、真田幸村と。
そして。
堂々と・・・恋仲だ、と言える平和な世が来るまで、共に戦い生き抜こうと約束した・・・奥州の片倉小十郎と。
生きると二人に誓いを立てたのに。
覚悟を決めて、佐助は大きく深呼吸をした。
身体は好きにすればいい。
だけど心だけは渡さない。
だが、その心までもが破壊されようとしているのなら。
・・・佐助の取るべき選択は、ひとつだった。
松永に快楽の淵まで落とされても、決して見せなかった涙が一筋、頬を伝った。
サヨナラ・・・・・・。
ぎゅっと目を瞑り、佐助は強く、自分の舌に歯を立てた。
「・・・・・・・・・っ、」
ガリッと鈍い音がした。
・・・・・・・・・え、
その瞬間、驚いたように目を見開く佐助の視界に飛び込んできたのは。
松永の歪んだ顔と、口の中に広がる鉄の味。
「やれやれ」
佐助の口から指を引き抜くと、止めどなく滴り落ちる自分の血をぺろりと舐め、松永はわざと困ったような表情を作ってみせた。
「玩具に生死の選択肢などないのだよ」
阻止されたのだ。
佐助の歯が、自分の舌を噛み切る事は叶わなかった。
「っ・・・・・・!!」
声を発する暇もなく、佐助の口に手拭いが押し込まれた。
口の中に、香の独特な気持ち悪い香りが体内に広がる。
自害も赦されない。
茫然となる佐助の意志など無視するように、ゆるりと佐助の腰がふいに揺れた。
「!!」
分離してしまったかのような佐助の下半身の動きと、再び勢いづいた佐助の下腹部に、ハッと我に返る。
その変化に気付いた松永が、楽しそうに声を上げて笑った。
「なんだ、まだ抱かれ足りぬか・・・それは気付かなかった、すまぬな」
ニヤリと笑う顔、
佐助の顔に恐怖の色が広がる。
口の中に突っ込まれた手拭いに、染み込ませたのだろう。
薬が徐々に、佐助の身体に浸透していく。
意思に反して荒くなる吐息、
再び元気を取り戻し、熱を帯びる下半身。
「やはり卿は美しい・・・」
うっとりと佐助を見つめていた松永が、再びその色白い佐助の肌を貪り始めた。
前から欲しかった。
飄々とした表情で、その笑顔の仮面をたたえたまま、敵を一掃する。
その顔を苦痛に歪めてみたいと思った。
自分の下で、淫らに腰を振り快楽に悶え狂う表情は、さぞや美しいだろうと。
武田軍・・・いや、真田から貰い受ける宝は、これ以外にないと決めていた。
松永の想像通り、この忍びはどんなに陵辱されようとも、その心は真っ直ぐさを失わなかった。
そして選択したのが自害という道。
「本当に卿は面白い」
松永は容赦なく、自分の欲望を佐助に突き立てた。
「ぅ、んんんっ!」
散々いたぶられた佐助の入口は、最早抵抗なく、むしろ誘うように迎え入れる。
そして時折ぎゅっと締め付け、松永の欲望に応えるのだ。
「ぅ・・・んっ、・・・ぅうっ」
声を封じたのは少し惜しかった。
卿の音色は、最高に男を煽る歌声なのに。
そう囁きながら耳元に息を吹きかけると、びくんとその背がしなやかに反った。
「ん・・・ふ、ぅ・・・っ」
誘うように、淫らに腰を振るその半身に、全ての意識は集中している。
松永はニヤリと冷徹に笑った。
佐助の胸の突起に強く噛み付く。
「・・・ぅ、んーッッ!!」
ふいに別の快楽を与えられ、悶え身を捩れば、結合が角度を変え深くなる。
「んぅっ、ぅ、んっ」
その乱れる様を満足そうに観察しながら、松永もまた悦楽に染まりきったその妖艶な身体に、ガツガツと腰を強く叩き付ける。
そして、今宵最後の欲望を放った。
自分は玩具・・・コレクションの一部。
この地獄は終わらない。
一時的に松永から解放されても、この責め苦は変わらない。
いつもの棚に括りつけられ、他のお宝と肩を並べられるその時でさえ、下肢には張形をくわえさせられた。
何かカラクリが施されているのか、時折振動を佐助に伝え、その度に、この微量の快楽が自分を狂わせる。
横目に、自分と同じように展示されている、綺麗な刀を視界に入れた。
愛しいあの人の主、伊達政宗の六爪。
初めて見た時こそ、伊達軍に何かあったのでは・・・と動揺したが、今となってはもうどうでもよくなった。
だって自分は玩具。
壊れていく・・・何もかも。
身体が朽ちるのが先か、
この心が狂気と化すのが先か・・・。
どちらにせよ、
もう、元には・・・・・・戻らない。
― End ―
※
この話にはハッピーエンドな続き≪夢の後先≫があります。
佐助は幸せじゃなきゃ嫌やわあ〜ッッ!! と、作者が暴走した為です(笑)
7000打感謝御礼、幽玄さまへ捧げます。
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