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□mark on scent
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受け持っている生徒のことで意見を聞きたいとクラサメに呼び出されクリスタリウムで相談に乗っていた。
なかなかの問題児がいるらしい。
「ダメなトコを指摘するのは十二分にできてるけど、長所を伸ばしてあげないとさ」
「なるほどな…俺は押さえ付けすぎか?」
「怒るのも大事だよ?でも出来てるトコは褒めないと腐っちゃうのも無理ないよ。あぁでもクラサメ褒め方下手だもんなあ」
「副官も不在だしな…気が重い」
「委員長とかとコミュニケーション取りなって」
「簡単に言うなよ」
「簡単でしょ」
「お前はな」
重い溜め息をついて、それでも助かったと立ち上がるクラサメに〇〇も続く。
と、そこに。
「クラサメくんっ!」
解散の雰囲気を感じたのか、期を窺っていた女性が進み出てきた。
「こ…この後、時間あるかな」
頬を上気させて指をもじもじと弄っている。
おおっこれは。
ピコンと女子力を発揮した〇〇は邪魔にならないよう静かにその場を去ろうとする。
ガンバれ。
すれ違い様に心の中でそっと応援したのだが。
「よ、よかったら一緒に」
「すまないが予定がある。そこにいる〇〇と出掛けるんだ」
突然引き合いに出された〇〇は足を止めて振り返る。
そんな予定なんてない。
なんでそんな―
「キザイアに行くんだったな。着替えてくる。12時に飛空挺場、遅れるなよ」
そう言ってクラサメは〇〇の肩を叩きクリスタリウムを出ていった。
鼻先を赤くしたその人に掛ける言葉も見つからず、やはり心の中だけでごめんねと謝り〇〇もクリスタリウムを後にした。