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□猫まっしぐら
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「...あんまり見ないでよ」
 
「なんで」
 
 
 寝室のドアを元気なく閉めた〇〇は視線を下げ気味に振り返った。
 
 
 クラサメのブーツが視界に入る。
 
 
「ぅ...」
 
 
 頭にふわりと手を乗せられ〇〇は肩を竦めた。
 
 
「やっぱり似合う」
 
 
 クラサメの声音が優しい。
 
 多分本心だ。
 
 
 そして付き合ってからよく聞くようになったこのトーンには〇〇はまだ慣れていない。
 
 
「...じゃあ...あの、片付け...やってるから」
 
 
 ふわふわと頭を撫で続けている手を払いのける事も出来ず、小さくそう言うとクラサメは手を降ろした。
 
 
「手伝おうか」
 
「...大丈夫」
 
 
 ふるふると首を振ると、普段とは違う遠心力を若干感じる。
 
 
「じゃあ眺めてる」
 
 
 どうしてこう、反応に困る事ばかり言うのか。
 
 
 換気のために開けた窓から木陰を通った気持ちの良い風が髪を揺らすのに変な汗をかいてしまう。
 
 
「...意地悪」
 
「手伝いがいらないって言ったのはそっちだろ」
 
 
 そうじゃない。
 
 その事を言っているんじゃなくて。
 
 
「...意地悪」
 
 
 唇を尖らせながら上目遣いで見るとクラサメは予想通りの笑みを浮かべていた。
 
 
 
 
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