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□鎮魂歌
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晴天を見上げたクラサメの視界で、驚いたのか忙しなく木の枝を離れた鳥が群を成して飛び立った。
「隊長。討伐完了です」
双剣に付着した血を払い、交差させるように腰鞘に納めたリーダーがクラサメの元へと駆け寄ってきた。
「...ご苦労」
バンダナを外し額に浮かぶ汗を拭う。
太陽の光を跳ね返す金髪ですら追い付かない程に彼の体温は上昇していた。
「今...」
今、地震が。
新鮮な空気を頭皮に晒し熱を逃がした後、再びバンダナを当てながらクラサメの呟きに応える。
「アイツの地響きでしょうか?...大物でしたから」
振り返った視線の先には地に伏したデュアルホーン。
今しがた、仕留めたところだった。
「これから心臓と、角、それから目玉の剥ぎ取りに掛かります」
全てを運ぶには対象が大きすぎる。
貴重価値と需要度が高い部位のみを切り取り、それらの素材は培養液が入った瓶に浸され、魔導院へと持ち帰られるのだ。
鮮度も優先的に考慮され、遠方の場合だと時には候補生には手配されない飛空艇の席を持つクラスの素材も存在する。
「前脚の腱も忘れるな」
「...過積載になりませんかね?」
スリーマンセルの1チームだ。
単純にチョコボ3頭で帰院する事になる。
「Bチームを呼び、内二人を加える。四人で素材と共に帰院。C・Bチームで明日フィールドを再確認。Bの穴には私とリョウで入るぞ」
イケるな、と向けられた視線。
同じチームとして並び立てる事に手に汗を握りながら、リョウはもちろん頷いた。