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□B&B
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 掲示板を見上げながらクラサメは眉根を寄せた。
 
 
 またか。
 
 
 予想はしていたが何度目だ。
 
 
 確認していた項目は明日からまた始まる訓練のメンバー。
 
 ここ数ヶ月、要員を変えて模擬対戦が頻繁に行われている。
 
 どうやらメンバー同士の組み合わせや相性を試しているらしいのだが。
 
 
「見事にまた全部一緒だねえ」
 
 
 聞き慣れた声に視線を向けると、掲示板を指しながらこちらに近付いてくるカヅサがいた。
 
「3日間の6試合、フルじゃない」
 
「...あぁ」
 
 
 スリーマンセルで行われる模擬試合。
 
 もう一人は全くのランダムだったが、何故かクラサメと〇〇は固定だった。
 
 
「不服そうだね?」
 
 
 眼鏡を上げ問い掛けてくるカヅサに返事はせず、クラサメは掲示板に連なっている名前を見た。
 
 
 〇〇。
 
 
 やりやすさは確かに感じる。
 
 しかしこれから先、実践での任務を全て共に熟すわけではないだろう。
 
 〇〇がいないスリーマンセルを組まされたとき、チームはどうなるのか。
 
 
 自分の役割、立ち回り。
 
 
 メンバーをフルシャッフルして他の人間性も知っておきたいのだが、〇〇が固定となるとそれも限られてくる。
 
 
 あとは純粋な理由。
 
 何故、ここまで固定。
 
 
「別に不服というわけではない」
 
 
 確認を終えたクラサメは、教室へ戻るべく踵を返した。
 
 
「2日後のラスト、よろしくね」
 
「ああ」
 
 クラサメ、〇〇にカヅサを加えてのチームが組まれていた。
 
 
「あと当たったらよろしく〜」
 
 
 ついでのように言われたその言葉はクラサメの背に掛けられた。
 
 まだ対戦相手としてカヅサとは対面していない。
 
 
 恐らく、そろそろ当たる。
 
 
「ああ。加減はしない」
 
 
 何やら声を上げたカヅサを無視して、クラサメは扉をくぐった。
 
 
 
 
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