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□Fight club 2
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クラサメ・スサヤは苛立っていた。
放たれるエアロBOM。
爆風によりマントがはためくのも構わず目を凝らして相手を探す。
マズい。見失った。
視覚から情報が得られない。視線は動かしながらも意識配分を3:7にし脳内を漁る。
次の手は。
耳に飛び込んできた飛来音。飛び退くと今さっきまでいた場所に刺さっているのはエアロラSHGだった。
冷や汗が、背中を。
あまいよ。
伝い落ちる前に全身が粟立ち、とっさに剣をヤナギに構える。
聴覚に感じたのと剣に応える重圧は同時。振り下ろされたのは鉄扇だ。
「…あれま」
「そこまで」
特に張られたわけでもない声に、だが二人は動きを止めた。
腕に掛かる負荷が無くなりクラサメはその場に座り込むと、詰めていた息を吐きだし、吸い込むを繰り返した。
「止めた止めた。お兄さんは嬉しいよ」
成長してるねえ。
クラサメに手を貸し立ち上がらせたのはカオン。
鉄扇を得手とする四天王の一人だ。
成長。
しているのか、など疑問になんて思わない。
急成長だ。
自覚ないわけない。
ただ成長している実感はあっても追い付いている実感は全く無かった。
だって柔和な笑みをたたえている目の前のカオンは息一つ乱していない。
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まだまだ修業中。