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□掌中の珠
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 予言とは何だろうか。
 
 
 例えば献立メニュー。
 
 例えば次に命じられそうなミッション。
 
 
 物事を的中させる人間は少なくない。
 
 
 しかしそれは自分が知らない要素を持っていて自分とは違う方面からロジックを展開しているだけだ。
 
 
 モーグリが大量のニンジンとジャガイモとグリーンピースを運んでいる場を目撃し、カレーの匂いがしなかったらシチューだし、コルシの町近辺がきな臭いと知っていて教官たちが話しているのを聞けば近々任務に当てられるだろう。
 
 
 知っていれば当てられる事象で、思いもしていなかった事柄だった場合には驚嘆する。
 
 
 そんなの予言なんて言わない。
 
 少し頭を巡らせれば誰にでも可能。
 
 
 …とはいえ、予言を否定するわけではない。
 
 
 星を詠む巫女。
 
 大地の鳴動を感ずる神子。
 
 
 数は少ないがそれを生きる使命とする人間もいるし、何より女神、ディーヴァ。
 
 
 人知を越えた彼の生命体も、全ての行く末をみているのだろう。
 
 
 そんな大それたものではなく、しかし前者には当て嵌められない予言者が、身近にいる。
 
 
 知り得ないのだ。絶対に。
 
 
 だって自分の事。
 
 
 自分の事であり、自分にはわからなかった事。
 
 
 それを当てられてしまってはそう思わざるを得ない。
 
 
 お前は予言者かと思った事は一度ではないのだ。
 
 
 自分はマリオネットで全身から操り紐でも伸びているのではないか、と、クラサメは自身の腕を払ってみるが当然そんなものはなく。
 
 
 掃除していた本棚上部からタイミングよく埃が降ってきただけだった。
 
 
 換気のために窓を開け、応援を呼び部屋を片付けている最中だという事を思い出す。
 
 
 〇〇が部屋を移ってくる。
 
 
 良き日だ。
 
 
 そんな良い現実から珍しくも何故思考に耽っていたのかと問えば、手の平にある一枚の写真のせいだった。
 
 
 
 
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