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□Fight club 4
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自らフルコースを食べに行こうとはしないユヒカに誘いを掛ける人間。
しかも断りきれないとなれば。
仕事の中でも最上からの依頼しかありえない。
ユヒカはその美しい外見から華やかな席に召喚されることが多いという。
腕も立つので、屈強で強面な男を傍に置くより白羽の矢が立ちやすいのだろう。
国家間友好の席とでもなれば並ぶ料理も最高級なのだが。
それでもユヒカにとっては天を仰ぐ程憂鬱なる行事でしかない。
そういう席は得てして退屈なのが常識であるからせめて料理だけでも楽しめればよいのに。
勿体ない。
「では旨い飯を更に旨くするために動くとしようか」
言いながら立ち上がったユヒカはカオンに目配せをし、ビャクヤは吸っていた煙草を消してこちらに近付いてくる。
「あれ?クラ子なんかフケた?」
「駄目だよシロ。そういうときは大人っぽくなったねって言ってあげなきゃ」
その言葉にクラサメの肩は更に下がる。
カオンのフォローもフォローになっていない。
「気合いが足らん。死ぬ気で臨め」
いっきま〜す。
ユヒカの鋭い声とは対照的な緩い掛け声と共に、カオンは機械を操作した。