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□Fight club 4
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「じゃあなんでヒナチョコボなんか。食いでがほとんど無いじゃないですか。せめて成チョコボまで育てましょうよ」
再び向けられた視線に思わずたじろぎそうになったが堪える。
間違った事は言っていない。はずだ。
しかし否定は予想外の方向からきた。
「わかってないなぁ〜クラ子は」
「質より量より、ユヒカちゃんには勝るモンがあんの」
なんだそれ。
料理に限らず、概ね質か量かの選択ではないか?
ヒナチョコボの方が柔らかくて美味いとか?
しかしグルメではないユヒカ。
単純に、ヒナチョコボの味が好みなんだろうか。
「早さだ」
「早さ...ですか」
「速度。」
料理を語る上であまり聞き慣れないワードにクラサメが眉をしかめていると、ご丁寧にもユヒカは言い直した。
「私の腹が空いているときに目の前にあるかどうかだな。育ててなんざいられるか」
待てば腹いっぱいに食べられるというのにとりあえず口に入れたいらしい。
「...ではフルコースとか駄目ですね」
その言葉に珍しくもユヒカが天を仰いだ。
「ああ。実に腹立たしい文化だ。極力避けてはいるが、どうしてもというときは食事を済ませてから臨む」
笑いを零すビャクヤとカオンとは逆に、クラサメは肩を落とした。