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□Fight club 4
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「ユヒカさん」
呼べばゆるりと向けられる眼光は、長い睫毛の下にあっても陰る事なく鋭い。
未だに慣れない。
最初に会ったときからだ。
捩じ伏せれるだけの弁も必須だが、この人と対するには胆力も必要だ。
というか、胆力がまず先か。
...まず?
まずってなんだ。
胆力より突っ込みより実力だろ。
突っ込みを極めるために四天王に加わったわけではないのだが、自分にすら突っ込んでいる自分がいる。
クラサメはこめかみを揉みほぐした。
「腹減ってるんですか。まさか飯食べてないとかいいませんよね」
「それこそまさかだな」
フンと鼻を鳴らして脚を組み替える。
ユヒカの中で最も重要なのは食事。
しかしグルメというわけではないようで、とりあえず量を求める。
次いで酒だ。
「しっかりきっちり食べた。お前に言われたくはないな。青白い顔」
辛気臭い顔だ、と呟いて自身の爪に視線を移す。
辛気臭い。景気悪い。
割と言われ慣れているフレーズだが、しかしユヒカが景気良い面をしているかといえばそうではない。
怖いから言えないが。