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□Fight club 4
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「ビャクヤさん。」
 
 溜め息をつきながら遠くの窓際で煙草をふかすビャクヤを呼ぶ。
 
「論外です。」
 
 情状酌量の余地はない。
 
 一刀の元に切り伏せると、ビャクヤは窓枠についていた頬杖を外した。
 
「ひでぇなオィ。だって鳴かないンならしゃーねぇじゃん。代役立てるしか」
 
「鳴けばいいってもんじゃありませんから。ヒナチョコボを、ってハナシですし。」
 
「でもよ、ヒナチョコボより上手く鳴かせる自信あるぜ?」
 
 逆光で顔は見えないが、想像通りの笑みをたたえているに違いない。
 
「そういう問題ではなく。というかそんな句が教本に乗るわけありません論外です。論外。」
 
「そんな論外論外って」
 
「論外です。」
 
「聞けよクラ子」
 
「論外ったら論外です。」
 
「クラ」
 
「論外。」
 
 
 一点張りのクラサメに、ビャクヤは肩を竦めて身体を反転させた。
 
 
 そういう事にしておいてやるよと、身を引いた節がある。
 
 
 先程のカオンもだ。
 
 
 恐らくこれからはこの人達を捩じ伏せていくのが自分の役割。
 
 この人達に引けを取らない発想力は自分の中にないし、それは努力で得られる物ではない。
 
 
 自分は感覚派ではなく理論派だ。
 
 
 そちら側から並ぼうとしても土台無理な話。
 
 
 切り口を変えるしかない。
 
 
 並び立てる程、弁を極めなければ。
 
 
 残るは感覚派の最たる人物だ。
 
 
 
 
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