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「...」
 
「...」
 
「...何?」
 
「何も?」
 
 
 水が入ったケトルを火にかけ、沸くのを待つ〇〇。
 
 来たものの何もやる事がなく、キッチンの対面から〇〇を眺めるクラサメ。
 
 
「もう一つ、あるんだっけ。...お説教」
 
 
 無言に堪えられなくなったのか先に口を開いたのは〇〇だった。
 
 
 ケトルに向けられていた視線をちらりとクラサメに向ける。
 
 その瞳は当然だが沈んでいた。
 
 
「されたくありませんか。お説教」
 
「されたくないデス」
 
「では次回から気をつけるように」
 
 
 次回から。
 
 だから今日はおとなしく説教を受けろ。
 
 
 意味は読み取ったようでガクっと肩を落としうなだれた〇〇。
 
 唇を尖らせてアイスコーヒーが入ったグラスを回す。
 
 
 その拗ねた様子。
 
 
「イジメっこ」
 
「心外ですね」
 
 
 クラサメが笑った気配に、〇〇は唇を尖らせたまま睨む。
 
 
「こういう機会でもないと私の言葉は聞いて頂けませんから。ふんだんに利用させてもらいます」
 
「ちゃんと、聞いてるもん」
 
 反発はしてみるものの語尾は細い。
 
「おかしいですね」
 
 
 わざとらしく顎に手を当て考えるそぶりをすると、〇〇は目だけをクラサメに向けて続きを促した。
 
 
「本当に私の言葉が染みているのであれば、今こういう目に合う事もないはずなんですが?」
 
「う」
 
「聞いてはいるけど聞きたくないとか?」
 
「そんなコトッ」
 
「では軽んじてらっしゃるようですね」
 
 
 ついには言葉も出せず、〇〇は首を縮めてグラスの汗を指先で弄る。
 
 
 楽しいがこのまま続けると本当に嫌われてしまいそうだ。
 
 
「では立ち話でお説教致しましょう」
 
 
 え、と〇〇が見る先でクラサメはカウンターに肘をついて首を傾げた。
 
 
「あちらで言われるより幾分か楽なのでは?」
 
 
 ただただ縮こまり、たまに小さく返事をしていた程度。
 
 
「ただ、内容は変わりません。反論があるならばどうぞ。受け付けます」
 
 
 受けるが捩じ伏せる。
 
 
 自分で言うのも何だが正論なのだから。
 
 
 
 
ーーーーーー
 
お説教はまだ続きます。
 
甘くなるのか?コレ。。。
 
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