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 そういえば説教をするつもりだったのだが、トキトに遭ってそんなモノは彼方へ吹っ飛んでいた。
 
 
 自分でもいかがなものかと思うようなセリフの数々。
 
 
 例えば。〇〇ではなくエミナだったとしたら。
 
 
 完璧にお嬢様をやってのけるエミナが相手ならば、クラサメは淡々と執事に徹するのだろう。
 
 
 未完な〇〇だから。
 
 
 つつけばつつく程面白いくらいに反応をする〇〇だから、エスカレートしてしまうのを止められなかった。
 
 
 ...止めるつもりも毛頭なかったが。
 
 
 少し視線を落とすとチョコボの羽根に埋まる〇〇の後頭部。
 
 
 掴まっててくださいと言われ、クラサメにではなく迷うことなくチョコボにしがみついた〇〇。
 
 
 本日も幾度思ったかわからないが、〇〇に色気は皆無。
 
 
 今だって急に色気づいたわけでもない。
 
 
 ただ自分の言葉に対し、逐一真っ赤になっていただけだ。
 
 
 照れているなんて言葉はまだ可愛い。本当に爆発しているようだった。
 
 
 何度爆発した事か。
 
 
 起爆しているのが自分だという事がクラサメの口角を引き上げる。
 
 
 まるで恋人同士のような。自分を好いてくれているような錯覚に陥る。
 
 
 楽しくて仕方がない。
 
 
 そんな事を考えていたら〇〇が突然上体を起こした。
 
 
「...いかがなさいました」
 
「殺気!」
 
 クラサメの首筋に腕を回し後方の暗がりを見渡す〇〇だったが、やがて首を捻った。
 
 再び腰を落ち着け元のポジションに収まる。
 
 
「気のせいでは?私は何も」
 
「そうだよね。クラサメが気付かないはずないよね」
 
 
 自分の中で反省なのか、声のトーンを落として羽根に顔を埋める。
 
 
 何なのかよくわからないが、〇〇が何かに鋭いのは知っている。
 
 
 ただ鋭い方向が果てしなくズレている事も知っている。
 
 
 ...殺気って...まさか俺の事じゃないだろうな。
 
 
 クラサメはごまかすように小さく咳をした。
 
 
 
 
−−−−−−
 
クラ氏の良からぬ視線=殺気w
 
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