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□Please... after
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そういえば説教をするつもりだったのだが、トキトに遭ってそんなモノは彼方へ吹っ飛んでいた。
自分でもいかがなものかと思うようなセリフの数々。
例えば。〇〇ではなくエミナだったとしたら。
完璧にお嬢様をやってのけるエミナが相手ならば、クラサメは淡々と執事に徹するのだろう。
未完な〇〇だから。
つつけばつつく程面白いくらいに反応をする〇〇だから、エスカレートしてしまうのを止められなかった。
...止めるつもりも毛頭なかったが。
少し視線を落とすとチョコボの羽根に埋まる〇〇の後頭部。
掴まっててくださいと言われ、クラサメにではなく迷うことなくチョコボにしがみついた〇〇。
本日も幾度思ったかわからないが、〇〇に色気は皆無。
今だって急に色気づいたわけでもない。
ただ自分の言葉に対し、逐一真っ赤になっていただけだ。
照れているなんて言葉はまだ可愛い。本当に爆発しているようだった。
何度爆発した事か。
起爆しているのが自分だという事がクラサメの口角を引き上げる。
まるで恋人同士のような。自分を好いてくれているような錯覚に陥る。
楽しくて仕方がない。
そんな事を考えていたら〇〇が突然上体を起こした。
「...いかがなさいました」
「殺気!」
クラサメの首筋に腕を回し後方の暗がりを見渡す〇〇だったが、やがて首を捻った。
再び腰を落ち着け元のポジションに収まる。
「気のせいでは?私は何も」
「そうだよね。クラサメが気付かないはずないよね」
自分の中で反省なのか、声のトーンを落として羽根に顔を埋める。
何なのかよくわからないが、〇〇が何かに鋭いのは知っている。
ただ鋭い方向が果てしなくズレている事も知っている。
...殺気って...まさか俺の事じゃないだろうな。
クラサメはごまかすように小さく咳をした。
−−−−−−
クラ氏の良からぬ視線=殺気w