□ □ □ チームプリティ(仮)。 〇〇が振り分けられたグループだ。 プリティって似合わないよーと笑っていたのは先程まで。 やっぱり絶対プリティじゃない。 今なら全否定出来る。 ちらりと〇〇は視線を走らせた。 どうやら男女混合で振り分けられているらしく、訓練生の中で一番ゴツイ男子がいた。 とても同い年には見えないパワーファイター。名前はジュラ。 続きましてこれまた背の高い女子。 美人だが前髪が目に掛かっているのが気になる。希薄そうな印象の、シエニ。 反対に、金髪を短く切り揃えてヒナチョコボみたいな頭の小柄な男子はノーフェ。 他にもフェブルンとかマーティとかメンバーは14人。 初対面がほとんど。 中でも一番の特記事項は彼だ。 君の自己紹介はいらないよ。 きっとみんなそう思ったはず。 以来、一度も口を開く事なく佇んでいるのは学年一の実力と名高いクラサメ君。 眠いのか眉間にしわが寄っている。 一応、ブリーフィングタイムなんだけど…。 やっぱりPはパーフェクトのPかも。 これは…もしかしたら優勝出来ちゃうかもしれない。 □ □ □ 振り分けられたアルファベット毎に整列させ、教官は音声拡声器を使って全員に対し説明をした。 ルールは簡単。 定められた枠内で相手チームの人間にボールをぶつけ、逆に自分は当たらなければいい。 全員に当て相手チームを0 にするか、制限時間内により多く残っていた方が駒を進められる。 炎天下の中、一同に招集を掛けて何をするのかと思えば。 至極単純な訓練だ。 …訓練か? ようやく演習に入るのかと思ったんだが。 全力で臨むようにと言われてはいるが、私語も許されているゲームのようなこの行事。 同じような考えだったのか、早々にボールを喰らい見物を決め込む人間も少なくない。 だがそれもどうかと思う。 端々で教官は目を光らせているし、クリップボードに何かを書き込んでいるそぶりもあった。 何を見ているのかはわからないが下手に気は抜けない。 騒がしい闘技場で、それでも枠内に立てば皆が必死なのは逆トーナメントに懸かっている罰のせいだ。 俺のチームは一回戦は勝ち抜いたため、それは回避出来た。 いい加減適当にボールを喰らいドロップアウトしたいところなのだが、未だボールには当たらずにいる。 頭上に降り注ぐ日差しが暑い。 クラサメはシャツのボタンを一つ外した。 そこに掛けられた声。 「お疲れ様」 振り向くとカヅサが立っていた。 …いつの間に。 □ □ □ なんとか一回戦は勝てた。 これで逆トーナメント行きは免れたわけだ。 あー良かった。 〇〇は胸を撫で下ろした。 無理無理。十日間もモーグリのお付きなんて。 訓練生とはいえ、授業の予習復習やレポートなどただでさえやる事は山積みだ。 覚える事だって多い。 そういう考えの人は多かったみたいで、一回戦は皆必死だった。 が、一回戦を勝ち抜くと二回三回戦はあまり苦もなく勝ち進めた。 なんでだろう。 みんな賞品欲しくないのかな? ふっふっふ。 罰ゲームが懸かると弱いケド、賞品が懸かると強いんだもんねー。 コートの外にいる教官は、極力視界に入れない。 緊張するからね。 うん。考えない考えない。 ナニ書いてるんだろうとか考えちゃいけないよ私。 腹ごなしも済んだし、あと二戦でゲット。 頑張るぞー! 大きく伸びをしたときに、後ろから声を掛けられた。 「お疲れ様」 聞き覚えのある労いの声に振り向くとカヅサ君が立っていた。 いつの間に。 |