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□おかえり 前編
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 私の戦闘能力に特筆すべき点は無い。
 
 
 座学は得意だから文官でなら上に昇れるのかもしれないけれど、私が目指すところはそこではない。
 
 
 彼の、隣。
 
 
 四天王であるクラサメ・スサヤの隣。
 
 
 彼とは同期として魔導院に入り、エミナちゃん、カヅサくんと共に良くしてもらっている。
 
 勉強では、助けてあげてたりもした。
 
 
 でも。
 
 
 一度実地に赴くと私は何の役にも立たない。
 
 
 危うい関係ではあるが開戦の火ぶたは切られていない国家間。
 
 
 主な相手はモンスター。
 
 
 と、これは候補生には当て嵌まるのだが。
 
 
 四天王にのみ下るという特令。
 
 
 コード・クリムゾン。
 
 
 極秘である任務内容を知るのは、幹部クラスと四天王のみ。
 
 
 私は、何も知らない。
 
 
 恋人が。
 
 どこで。
 
 何をしていて。
 
 いつ戻るのかも。
 
 
 わかるのは出立日と、“長そう”“すぐ帰る”というクラサメくんの見立てのみ。
 
 
 それ以外は、何も知らない。
 
 
 ちゃんと帰ってきてくれるのだろうか。
 
 強さは知っているつもりだが、それにしても心配が消える事はなく。
 
 
 だからといって〇〇も業務を疎かに出来るわけでもなく。
 
 
「〇〇士官。ため息ついてますよ。まだ戻ってないんですか?」
 
「...当たり」
 
 
 仕方ないですねと肩を竦めたのは補佐についてくれている男の子。レイク君。
 
 〇〇も苦笑いを返す。
 
 
「極秘でしょう?バレちゃいますよ。オレ、何も見てないんで」
 
 
 じゃお疲れ様です。
 
 
 一礼して部屋に帰る礼儀正しいレイク。
 
 
 労った〇〇も帰るために資料をまとめた。
 
 
 
 
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