鈴のお題小説
□引継ぎ作品
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神様は天使のことをなんだと思っているのだろう。
きっと召使程度にしか考えてなのだ。…実際、そうなのだけれども。
天使が神様に刃向かうことなど、決して出来はしない。もし刃向かえば、即座に地上――人間界に堕とされるだろう。天使と神様じゃ力量が違いすぎる。
人間界に堕とされる、それだけは絶対に避けたい。あんな世界に堕とされるなど、恥なんてもんじゃない。
人間はこの世で、もっとも愚かな生物なのだ。
神様を崇拝しているくせに、神様に近づこうとする。神様に近づいていいのは天使だけだ。
近づけもしないのに、神様に近づこうとする。そんなことできるわけがないというのに。
無駄な努力だ。
蝋で固めた翼で、天に近づこうと飛んでみたり、
天に届くような高い塔を造ってみたり。
愚かで、滑稽だ。そんなことで神様に近づこうななど、神様を愚弄しているのだろうか。
そんな愚かな人間の住む、人間界に堕とされるだなんて屈辱的なのだ。
でも、そう思う一方で、そんな人間を観るのが好きでもあったのだ。