Treasure
□うさぎとウサギと兎
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気がついたら、物凄い勢いでジジイに跳び蹴りを喰らっていた。
『うさぎとウサギと兎』
何で、こんな事になったかって?
そんなん、俺が知りたいさ!!
事の発端は確か―
「ラビくん、プレゼントは何が良いかしら?」
「ほえ?」
何の脈絡もなく唐突に、ミランダが俺に訊いてきた。
そう言われて初めて俺の誕生日が近づいてる事を思い出したけど。
「…あ〜、うん。何でも良いさ。」
ミランダがくれるものなら何でも良い。
それは紛れもなく俺の正直な気持ちだったから。
でも、その答えはミランダにとって良くない答えだったようで―。
「…ラビくん…もしかして、プレゼントに興味がないの…?」
シュンとうなだれる姿はさながら小さな兎みたいで。
物凄く、可愛かった。
「っ!!!!う、ち、違うさ!えっと…いきなり言われて思いつかないだけで、決してそういう訳じゃ、」
危うく何かを口走りそうになったが、なんとか耐えてそれらしい事を告げる。
「じゃあ、考えておいてくれる?私の方も考えるけれど、出来れば喜んで貰えるものを贈りたいから。」
うなだれた様子から一転して、柔らかく笑うミランダに見惚れてしまい慌てて頭を振る。
―煩悩退散っ!!
「…ラビくん…?」
「狽ネ、何でもないっ!!分かった!か、考えとくさ!」
不思議そうなミランダにそう言って、その場は収まった―けれど。
「―なんで、こんな事になるんかねー。」
「知るか。」
今、俺達は科学班の―というかコムイのせいで起こった騒動の後始末をしている。
“コムタビンD”の感染者は、アジア支部長バクの作った抗体によって治り、小さくなった俺達の体も抗体により―
「…って、すぐ治らないんさ!?」
「コムタビンD程の即効性を求められても困る。君たちの場合、体の組織が幼児化しているわけだから、自然に成長するのを待つ方が良いのだ。」
俺が訊くと、バク支部長はそう言った。
その答えにユウは聞き返す。
「…どれくらいかかる。」
「そんなにはかからないだろう。長くて2、3日のはずだ。」
それを聞いてやっと俺もユウも安心できた。
この体は不便だけど、2、3日くらいなら大丈夫。
そう思ったから。