ルハン

□ルフィ×ハンコック
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夜、過去の夢を見て泣きながら目が覚めた。
吐き気がしてトイレに駆け込んで、胃の中にあるものを全て出した。

悪夢なんて・・・

きっと、かの地に向かうからだとは思う。
奴隷から解放されてからというもの、体は解きはなされても心はまだあの暗黒の時代に囚われていて、毎夜悪夢を見ることは常態化していた。
心の傷は深い。ただ時間だけが解決してくれるものと信じて今まで生きてきた。
最近では、あの頃のように毎晩あの夢を見るという事はなくなってきてはいたのだけれど。

やはり、まだ。

体が覚えている。どんなことをされて、どんなことをさせられてきたか。
心はまだ、折れている。あやつらに反抗したらどのような目に遭わされるか分かっているから。
反抗しようとすら思わなくなるほどの・・・

「う・・・」

思い出してはいけない。今でもありありと浮かぶあの地獄。
記憶に鍵をかけて。傷を真綿でくるんで。心を閉じる。

ふと、脇を見やる。
自分が想いを寄せる男が、ベッドに大の字になって眠っており、その安らかな寝顔が見えた。
ここは海軍の船の中。
密航者だというのに、その大胆不敵さは留まるところを知らず緊張感の欠片もない。
よく食べるし、よく飲む。そして声も大きい。


「この男がきっと・・・」


きっとルフィが自分を解放してくれる。この神をも恐れぬ所業をしてみせた大バカ者が。
世界の常識をひっくり返し、いつか本当の自由をもたらしてくれる。
そう信じてやまない。

だから・・・


「・・・のう、ルフィ」


そっと手を伸ばす。そこに指を絡め、手慣れたようにしごく。
やはりそこは健常な男。
裸身に反応せずとも、直接的な刺激には敏感なようで、すぐ勃ち上がる。


「むにゃむにゃ・・・ん?・・・なんか用か?」


すぐにも眠りに落ちそうな眼でこちらを見た。

夢うつつとはこの事・・・いや。
夢でもいい。
今宵一晩の夢を。


「わらわを・・・救ってくれぬか」



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