clap ss

□4.ナミロビ
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「いた・・・っ」


指に血の球が、浮かぶ。


「うわ、不器用」


すかさずナミちゃんの突っ込みが入った。
にやにや笑ってる。


「もう、ナミちゃん口が悪いのね」


りんごとナイフをサイドボードに置く。
指先を見ると、血の量はたいしたことはない。
すぐ止まりそうだった。


「ていうか、あんたの得意技なんだっけ」


まだ笑ってる。
そんなにおかしい事?


「いきなりなによ」

「普通、得物は使い慣れてるんじゃないの〜?」



ああ、その話ね。
そんな証拠の残るものは使いません。



「そういうものは使いません」

「・・・あ、そうか。ごめん」

「いいの」



すぐ謝ったので、許してあげる。
別に、いいし。



「指かして?」

「・・・っ」


ちゅ

指先になま温かい感触。
赤くて柔らかい唇が離れてく。



「はい、治療は完了」

「・・・血が口元に」


お礼にこちらからも。

ぺろ

口元についた赤い血を、舌で舐め取った。



「はい。きれい」

「・・・なんか、バカップルっぽいんだけど」



くすぐったそうに、目を細めてる。
ほっぺが赤い。
照れてる。可愛い。



「それ、憧れだわ」

「病気ね」

「不治の病だわ」

「私も、それにかかれと?」

「もう、かかってるでしょう?」



笑いあって、抱き締めあう。
ほんとにささやか。
だけど幸せ。






・・・あとがき。

鬱なのを書いてるときに書いたブツ。反動で、幸せいっぱいのが書きたくてこんなに甘くなっちゃったり。

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