ナミロビ

□ビビナミロビ
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「さあ、もう寝なきゃ・・・」

読んでいた本を棚へと戻し、ベッドへ腰かける。
もうそろそろ、仲間となって一か月。
すでに体に馴染んだシーツの感触が、眠気を誘う。
ひとつベッドの端に、この船の航海士がすやすやと寝息を立てていた。

航海士さんを、起こさないように・・・

「そっと、入らなきゃね」

横にするりとすべりこみ、枕に頭をつけて寝る体制をとった。
気配を感じたのか、航海士は寝返りをうって、自然なしぐさで胸をもんできた。

「・・・っ!」

あまりのショックに言葉にならず、かわりに出たのはハナの手。
ハナの手で、壁にナミをはりつけにしてしまった。
当然のようにナミは起き、

「!!」

攻撃態勢をとっているロビンと、壁にはりつけにされているナミ。
見つめあう二人の間を微妙な空気が漂う。



これは・・・聞いた方がいいわよね。
そう判断し、できるだけ優しく声をかける。拘束したまま。

「ねぇ・・・」

「え?え?」

「航海士さんは、そっちの趣味があるの?」

「あ、あの・・・」

「大丈夫よ、差別はしないから」

「・・・えっと。私、寝ぼけてロビンになんか、した?」

「だって、あなた、私の胸をもんだわよ」

「・・・!」

ナミは口を開けて黙り込んだ。

これは・・・決定的ね。

ひとつ深呼吸して、ナミの拘束を解く。
人心地がついたのか、ベッドの上で自分の手や足をさすりながら、うつむいている。
どう、声をかけたものやら。

「それで、航海士さん」

「・・・ああ、ごめん。気持ちわるかった?」

「いえ、そんなことは・・・ただ、びっくりして」

「びっくりしただけで、拘束すんのは今度からやめて、ね?」

ちょっと痛かったと、彼女は言った。
ちゃんと、話すから、とも。

ビビ王女と関係があったとの事。王女が国に帰り、関係が途絶えた事。
いつ死ぬかわからない極限状態の関係で、恋というより、慰めあいに近かったと。
淡々と、語られた。

「そういうわけなので、安心して?」

別に、ロビンを襲ったり、しないから・・・と。

「忘れたようで、忘れてなかったのね。私のからだが。」

「そう・・・」

「これからは、気をつけるわね」

そう話す航海士さんは、とても痛そうな顔をした。
なんだか、胸がつかえる。痛みがこちらに伝染したようだ。

「よかったら・・・」

「よかったら?」

ちょっと逡巡して、はっきり告げた。

「私でよかったら、協力するけど・・・」

「ちょ・・・、ロビン?」

「体でしか、慰めてあげられないけれど・・・」

「無理しないでよ」

「本気よ?」

「・・・ロビンってバカ。本当にバカ。」

「・・・・」

バカでごめんなさい。
本当に、これしかあなたを慰めてあげれる方法が思いつかなくて。
そういうふうに生きてきたから。
ただ、あなたの涙が止まるのなら。


心の中でそう言って、服を脱ぎ始めた。

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