M A I N

□届かない
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 君は
  どんな風に
     笑っていた?

  朝、起きる時
  君の声が聞けない

  もう、二度と

  「綱吉…綱吉…」

 隣を手探りで
 探っても
 君の温もりには
 触れれなくて

 ねぇ、いつもみたいに
 "おはようヒバリさん"
 って言ってよ
 僕がキスすると
 林檎みたいに
 真っ赤になって
 笑う、きみ

 哲に呼ばれ
 渋々起き上がる

 Yシャツに腕を通し
 スーツを着こなす

 次は、君が、いつも
 ネクタイを
 締めてくれるのに

 自分で締めていると
 現実が目の前に
 突き刺さってくる

 「綱吉…つなよし…」

 移動中も、君の名前を
 何度も何度も、呼ぶ

 そして最近の僕の日課
 森の中に入り
 ある所で足を止める
 
 黒く、真ん中には
 ボンゴレの紋章が
 刻まれている、棺

 この棺の前に来て
 君に会うのが日課

 「綱吉、昨日ね、任務に行って来たんだ」

 返事はない
 だって、
 君はこの棺の中で
 永遠に眠っているから

 「つな、よし…返、事は…?」

 返ってくる筈のない
 返事を待っていると

 不思議と目から
 涙が溢れて、きた

 「ねぇ、綱吉、いつもみたくヒバリさんって、呼んでよ、ねぇ」

 棺に顔を伏せて
 精一杯、嘆く

 「君の笑顔とか声とか、まだ覚えているよ」

 「でもね…君の温もりが感じられないんだ」

  これから、もう…
   永 遠 に

 「ねぇ綱吉、つなよし、ツナヨシ…忘れたくないよ、答えてよ…綱吉!」

 棺に向って
 泣き叫ぶ

 君の声も笑顔も仕草も
 まだ覚えてるんだ

  でも
 君の炎の色は?
 どんな風に
 笑ってた?

 …逆流するように
 君を忘れていく

 「綱吉…」

 棺の蓋を開けて
 そっと、触れる
 温もりは、感じられない

 「行ってくるよ、綱吉」

 最後にキスを交わし
 蓋を閉めて
 僕はまた歩みだす
 届かない、手を
 握り締めながら

 忘れて
   しまわないように


 ――この後
 10年バズーカーで
 綱吉が
 未来に飛んでくる
 なんて、僕には
 知るよしもなかった



        END
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