宴の間

□迷宮
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真っ直ぐな道を歩いて来たはずなのに
気がついたら真っ暗闇へと迷い込んでいた。

進んでも・・・
   進んでも・・・
      真っ暗なまま・・・

自分がどこにいるのかさえわからずに

ただ・・・
   ただ・・・

同じところをぐるぐると回っているような感覚に陥った・・・

もうこのままずっと
外へは出られないのだろうか

そう思った時に声が聞こえた

何を言っているのかはよく聞こえなかった・・・

だけど何故だか僕を導いてくれてるように思えた

一歩・・・
   一歩・・・

僕はその声を頼りにひたすら歩いた。

だんだんと言葉がハッキリとしてくる。

「瞳を開けなさい」

初めてその声が何を言っているのかが聞こえた時

僕は自分が瞳を瞑ったまま
迷子になっているということに気がついた。

目を開くとそこは元々真っ直ぐだった道の途中だった

僕は一体何を怖がって瞳を瞑っていたのだろう・・・

何で耳を塞いでいたんだろう。

瞳を開いただけでハッキリと見えるこの景色を・・・
耳に当てた手を外しただけでハッキリと聞こえる僕を導いてくれた声を・・・

僕は何故見ないように・・・
    聞こえないように・・・
してきたんだろう。

こんなにも道は真っ直ぐだ

こんなにも僕を導く声は透き通っている。

もう迷うことはない・・・

だってもう僕の瞳は開かれて
耳を塞いでいた手は外されているのだから。

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