ケイスケ×アキラ

□ごちそうさま
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「ケイスケ、ケチャップとってくれないか」
「うん、はい」

ケイスケが冷蔵庫から容器の半分にまで減ったケチャップを取り出しアキラに手渡す。
今日はアキラが夕飯を作ると言い出した為、ケイスケは材料を揃えたりと手伝いをしていた。
アキラが何を作るかはケイスケには言っていなかったが、ケチャップを渡した瞬間にケイスケにはある料理が頭に浮かんだ。

「オムライス作るの?」

アキラがフライパンの中の炒めたご飯にケチャップを混ぜた。

「なんでわかるんだよ」

言い当てられて恥ずかしかったのか、少し口を尖らせて乱暴にご飯とケチャップを混ぜていく。
白いご飯と赤いご飯がまだらにフライパンの中を駆けまわる。

「だってそれ、チキンライスなんでしょ?」

うるさい、と小言を言われたが、ケイスケはにこやかに冷蔵庫から卵を4個取り出すと、ボウルに卵を割りかき混ぜ始めた。
先ほど手渡したケチャップの色と卵の色が対照すぎて不思議な感覚を覚えた。





アキラはぎこちない手つきで卵にチキンライスを包んでいくと、皿に盛りつけテーブルの上へ並べた。
席につき、自分のオムライスにケチャップをかけた後、ケイスケに残り少なくなったケチャップの容器を手渡す。

「だいぶ減ったねケチャップ」
「けっこう使ってるからな」

ハッキリとした味の好むアキラはオムライスはもとより、色々な料理にケチャップを使うのが好きだった。
ケイスケはアキラの作るご飯ならどれでも美味しかったし、もともと変わった味を好んではいたが、そこまで味にうるさいわけでもない。

「あぁ〜、少し足りないかも…」

ケイスケがギリギリまでケチャップを搾り出すがこれ以上で出てくる様子はない。
買い置きもしていないし、かといってケチャップごときで近所に今すぐ買いに行く程度ではないだろう。
仕方なくそのままオムライスにスプーンを差し込み口へ運ぶ。

「あれ、アキラ?ケチャップあまり混ぜなかったんだね」
「そうか?俺はこのくらいでちょうどいいかと思ってたけど、味薄いか?」
「前はもっと入れてた気がしたから…でも美味しいよ!」

以前はもっと濃かった気がしたのだ。
味というより、色が。
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