Present
□『虹』
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投げ付けられたのはひどく簡潔で。
極々、端的に。
直接引っ叩かれたような衝撃でもって響いた。
「バカ!」
―あれから数日経った現在。
今だなお膠着状態は続いている。
同じ大学のキャンパスに通っていて。
取る講義が被ることもあるのに。
言葉を交わす事はおろか、目を合わせることもない。
意地になってるんだってことくらい、俺だってわかってる。
こうして常にあいつの挙動を目で追っている自分に呆れてるさ。
あいつだってそう。
目を合わせていないのに、ふと視線を感じれば。
ほぼ確実。
視線の先にはあいつがいるんだから。
あいつが意地っぱりなのも、高校生の頃からわかってるんだ。
でもさ。
あいつだってそうだろ?
俺が意地っぱりだって十分過ぎるくらいわかってるはずなんだ。
どこかで折れなきゃいけない。
痛いほどわかってるって!
あいつのほうから「ごめんね?」なんて言って来る頃合はとうに過ぎた。
ほんとにそろそろなんとかしないといけない。
だけどさ!
正直俺はなんであいつがああも怒ったのか…
さっぱり解らないんだよ!
…謝りようがないじゃん。