Short story*

□ぶるーぶるーすぷりんぐ?
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「おい。佐伯。先行ってっぞ?」

今日はハリー様直伝ギター講座の日だ。
遅刻は許さねぇ。

そのつもりで佐伯のクラスを覗き込んで一応声だけはかけてやった。

「ああ。すぐ行く。」

佐伯は当番かなにかなのか慌しく書き物をしていたみたいだった。


まぁ、当番ならしょうがねぇか。
少しだけなら待ってやらないこともない。

先に行って相棒と遊んでてもいいしな。オレは。


そう思い直して、よく人に大きいと言われている鼻歌なんかを歌いながら、音楽室へ向かったところだった。


「あ!ハリークンみーっけ♪」

廊下の向こうから長い金髪を揺らしながらデカイ奴がやって来た。

「あん?なんだクリス。オレ様になんか用か?」

留学生だとかいう触れ込みの外人―クリスだった。

なんか舌かみそうな名前…なんだっけか。
ウェザ…天気…いや違うか?

ああ。もうどうでもいいや。
クリスはクリスだ!
おう。それでいい。


で、クリスはオレの前までやってきてニコニコと笑いながら小さな紙包みを手渡した。

「ハリークン!こないだのライブめっちゃよかったわぁ〜!そんでなっ。コレはそのお礼っちゅーわけや。受け取って?」


そうだった。
この前ライブハウスでやるミニライブにこいつ行きたいとか言うから招待してやったんだっけ。

まぁ、なんだ。
「ライブがよかった」と言われて悪い気はしねぇ。
オレ様のライブがイイのはアタリマエだけどなっ!


「おう。そうかっ。しょーがねぇな。そうまで言うならもらってやるよ」

差し出された薄い紙包みを受け取った。
野郎からプレゼントなんて気色悪ぃけどよ。
ライブの礼だってんだからな。


しかし、コレはなんだ?
大きさはCDケースとちょうど同じ感じ。
まさかオレ様のライブを録音でもしやがったか?


「ほなっ!楽しんでやぁ♪あ。そうそう。またライブあったら教えてぇな!また行きたいわぁ。」

クリスは先ほどよりも笑みを深くしてヒラヒラと手を振る。
実際こいつの甘ったるいしゃべり方は好きじゃねぇけど。
ファンは大事にするもんだしな!

「ああ。わかった。楽しみにしてろよっ!で、コレはなんだよ?」

オレの問いに、クリスは去りながら「DVD!」とだけ言って逃げるように走っていった。


…なんだ、あれ?




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