企画もの

□誕生日をあなたと
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7月10日、今日の空は青く澄みきっていた。

今日は、枢木スザクの17回目の誕生日
とは言っても、もう誰も彼を祝ってくれる人など居なかった。
だから、彼自身も忘れていた。


シンっと静けさが辺りに漂い、暗く電気が消えていることから、中には誰も居ないことが伺えた。

どうしたんだろう。
今日は休みだなんて聞いてないし。

人に尋ねよう……と思っても、特派の周りに他の部署はない。

少し、待ってみよう。

そう思って、入口の前に座り込む。

しかし、一向に誰か来る気配はない。

嫌われたのかな
だって、休みだって、昨日言われなかったし。
最近は、あの雰囲気に慣れきっていてすっかり信じていたけど、やはり彼らもブリタニア人なのだ。
自分がこんなにも傷ついていることに、彼らにどんなに気を許していたのかが分かる。
彼らは、僕を裏切らない。そう、心の底で思っていたのだ。

「―――……下さい」
「ァハッ。―――……だったからねぇ」

遠くから聞きなれた声が聞こえてくる。
思わず、立ち上がった。

「スザク!!」

あの人たちだと認識したと同時に、声をかけられる。
ピンク色の髪、顔に少し似合わないメガネをかけた女性が駆け寄ってくる。

「私です、分かりますか?」
「うん、ユフィ……だよね」
「はいっ!!」

嬉しそうに返事をする彼女。
それにつられて、僕も笑顔になってしまう。

「あの、どうしてココに?」

彼女はこのエリア11の副総督。
自分でお飾りだと言っていても気軽にココに来れるわけがない。
しかも、護衛なしにだ。

「えっと、良いですよね?」
僕が、尋ねると、ユフィが後ろに居たロイドさんとセシルさんに声をかける。

「うん〜」
「じゃあ、せーの……」


「スザク、誕生日おめでとうございますっ!!」
「おめでとう、スザク君」
「おーめーでーと〜」

三者三様に「おめでとう」と言われる。
えっ、おめでとうって?
それに、誕生日って……

「あはは〜、今日は7月10日だよー。忘れてたでしょ」
「あっ!!」

今日は僕の誕生日だ。
この7年間、誕生日なんて忘れていた。
祝ってくれる人なんて誰も居なかったし。

「今日は、特派の活動をお休みにして、みんなで出かけましょうって話をしてたんだけど……、スザク君に伝えなかった人がいましてねぇ」

セシルさんがロイドさんの方に厳しい視線を向ける。

「あはは〜、ゴメンって〜」

二人のやり取りがいつもと同じで安心する。
そして、僕は別に嫌われていた訳じゃなかった。

「ねぇ、スザク。一緒に出かけてくれますよね?」

いつの間にか隣に来ていたユフィが確認してくる。

「はい、喜んで」

雲から光が出てきた瞬間だった。















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