小説(?)
□コンビニ・エウクアイ
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深夜。コンビニのバイトをしていると、不思議な出来事に会うこともある。
「仲里く〜ん、入口のゴミ箱、袋変えといて〜」
女性のなよっとした声、俺はレジ内の千円札を十枚束にしていた手を止め顔を上げて声のした方を見る。
「構いませんけど…、風見さんも少しは働いて下さいよ」
俺の見る先、隣のレジ後ろで椅子に座り、清算する物を置くための台―カウンターに突っ伏している。風見と呼ばれた女性は、顔を此方に向けると、
「だって私、オーナーだもの…、働いちゃ駄目なのよ?」
「どういう理屈ですか…」
呆れ混じりに言ってみるが、彼女は気にした風もなく。
「良いから、早く捨てて来て」
言っても無駄だだなと、俺は溜め息を吐き、数えていた千円札の束をレジにしまい、カウンターから出る。
「分かりましたよ、捨てて来ます」
「お願〜い」
風見さんの声を背中に聞きながら、俺はコンビニの出入口に向かった。
店の前にある、ゴミ箱の蓋を開いて中を見るが、全くと言って良いほどゴミは無い。