小説 参

□朧月夜に舞う蝶は
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うちはイタチは死にました


えぇ 確かに死んだのです


最期はあまりにもあっけなく


彼に親を殺された子供から 小さなカッターナイフの様な小刀で一突き


刺された部位が肝臓だったので 辺り一面に血飛沫が舞い


刺した少年と彼は その様子を不思議そうに暫く眺めていたそうです


それから彼は 私の処へやってきて

『膝枕をしてくれないか』 と言い


私は おろしたての着物を着ていたので少し困ったのですが


彼のたっての希望でしたので 膝枕をして差し上げました


唇の色が紫になり 青白い顔になった彼が とても美しかったので

『今日は一段と良い男ね』 と私が言うと


彼はゆっくり瞳を開け

『そうか』 と言い


そのまま二度と目を開けませんでした
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