小説 参

□朧月夜に舞う蝶は 7
2ページ/2ページ




「ぁあ、心配しなくても大丈夫ですよ。先生を捕まえようなんて考えは、ありませんから。第一、捕まえたって

無意味ですから。ただ、先生に人生振り回され 性格歪んだ人間は、1人や2人じゃ済まないにプラス

苦しんでる人間が居る。その為に、アンタがしなくちゃいけない事があるハズだ。」



「振り回された?性格が歪んだ?何を言っている?!オマエ達人間は、欲ばかり深く 1つ満たされても

すぐに次の欲望を満たしたいと、私に言い寄って来る!苦しんでるだと?!苦しんだのはこの私だ!

全てを与え、教えたのは、この私なのに‥キサマ等人間は‥―――!」



小さく痩せ細った老人の、あまりの悲痛な叫びに カカシもアスマも、言葉なく見つめるしかなかった。



悲しみ、虚しさ、渇望、挫折―――

そんな言葉を 彼の目から流れ落ちる涙が訴えて来たかと思うと、小刻みに震える両手の拳を握り締め

老人は、渇いた笑い声をあげた。

狂った様にひとしきり笑った老人は、右手で目元を覆い嗚咽を噛み殺しながら、また声をあげて泣いた。



*************************************************


『そうか‥‥。お前、中忍になる事に決めたのか。本当にソレで良いんだな?いの?』

『うん。だからお願い、わ‥たしを‥私を預かって欲しいの!私‥アスマ先生以外の人なんかイヤ!だからッ!』



最初に中忍になるって言った時、アスマってば変に取り乱して 部屋出て行っちゃって…。

残されたアタシハは、1人呆然としたっけ。

次の日、もう1回言ったら『ソレで良いんだな』って、尋ねる彼の私を見る瞳が辛くて



私は、視線を逸らした。



前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ