小説 参

□朧月夜に舞う蝶は 4
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「なぁ〜セイラ〜‥ヘソ曲げてないで、一緒に帰ろ。今日は、カカシ先生 任務で帰れないんだってばよ。
だから、一緒に『一楽』行こうってばよ。」


「パパ‥居ないんだ。兄ちゃんと2人なんだ‥‥。」




あの、九尾とサラ様の事件から5年。木の葉の復興は、順調に進み 今ではもう完全に、事件前と同じ処まで

回復致しました。 勿論、そこに辿り着くまで 紆余曲折がございました。

ですが、その中でも 里全体を震撼させた事が、たった1つ御座いました。



それは、完全に近い復興を成し遂げた 木の葉の里にあって、絶対にソレだけは有り得ないと

誰もが思っていたコト‥‥



――サラ様と カカシ様の   離婚でした



サラ様の欠けた木の葉は、何と申しましょうか、少しずつ空気の抜けてゆく風船のよう――


臨月を向かえ あと幾日で御出産という頃、御友人や カカシ様の反対を押し切って里を出たサラ様は、

そのまま帰らぬ人となり、御宅のテーブルには 離婚を2文字を綴った手紙があった、の、なかったのと

いうのが、里内を駆け巡っている噂話ではありますが――



本物の 事の真相は、誰も知る由もありません。

ただ、里の銀モクセイが満開の 気持ちの良い秋の日に、月隠れ一族である安寿様の手によって

2歳を迎えたばかりの世羅様が、カカシ様の元へ連れて来られたのでした。

見事なまでの金髪と、美しい琥珀色の瞳。色白のキメの細かい肌は、お母様譲りの陶磁器の様になめらか

その御様子は、たいそう可愛らしく 我が子を腕に抱いたカカシ様が涙された事は、有名な話でございます。



ですが、驚いた事に そのセイラ様の玉の様な肌、左鎖骨の少し下の辺りでしょうか、その付近に

禍々しいまでの『黒い×印』のアザがあり、一同 驚いたのでありました。




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