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□006ハルシオン1−愛の言葉−
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━━━━━━━━━━愛の言葉雑踏の音がうるさい昼時の城下町。
一つに纏めた長髪を揺らしながら町中を歩く青年。
暗い緑色のローブを閃かせ、悠然と通りを歩く。
・・・と、そんな少年の背後から小柄な薄緑のローブが駆けてきた。
「レニス様っ!」
フードを目元まで被った薄緑は少年の目の前に回り込んだ。
「っ!クレラ!・・・じゃなくて、姫っ!」
思わず昔からの呼び方で呼んでしまった青年レニスはフードを被った少女が王国の姫であることを思い出す。
「むー。クレラって呼んで下さいよ。」
レニスから見える少女の口元が少し膨れた。
「しかし、あなたは王国の・・・」
言いかけたレニスを制止するように、彼女は自分の口元に指を立てた。
「シーッ!こんな街中でそんなこと言ったら騒ぎになります。私がこんな格好している意味も察して下さい。」
笑い交じりに言う彼女にレニスも頬を緩める。
「じゃあ少し買い物に付き合ってくれるか、クレラ。」


「喜んでっ!」
彼女は満面の笑みでレニスを見た。
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