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□005タイムリミット1-始まりはいつも突然に-
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僕の横には君がいて、君の横には僕がいて、
春の木漏れ日や、蛍の舞う小川があって、
流れ星を探して、
肌寒くなった秋の空を見て、
白銀の冬を見る。
そんな世界が当たり前だと思っていた。
君といる、この世界が・・・僕は、君のいるこの世界が・・・


大好きだから。


━━━━━━━━タイムリミット


そう、出会いというのがいつも突然のことのように、別れというのもいつも突然起こるものなのだ。
夜行列車の中で、僕は昨日のことを思い出して少し唇を噛んだ。別れの前日、つまり昨日になって彼女に宇宙防衛隊の研修が南の離島で5日後スタートし、今日出発すること、そして研修が終わるとすぐに月面基地でのキャンプが始まる。という事実を伝えた。
そんな訳で、そんな大事なことをなんで前日に言うの!と昨日彼女に泣かれた。そして謝ろうと思って近寄ったらビンタされた。
あの時のことを思い出し、僕は思わず頬を撫でたけど、僕にはその痛みよりも彼女のあの時の目の方が忘れられない。
「・・・・・・なんで、」
窓の外の空を見て、まだ自分がこれからすることの大きさも分からなくて、彼女の表情も忘れられなくて・・・


「・・・なんで、こんなことになっちゃったんだろう。僕はただ・・・」
まだ何も実感出来ないでいる僕は、一晩彼女への最初の手紙の内容を考えて過ごしすことにした。
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