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□007銀河鉄道の夜
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夜、窓を見ると澄み渡った空に無数の星が輝いていた。何万、何億も前に輝いた光。
「パパ!」
その美しい夜空に最初に気付いたのは煌太だった。
「お星さまがたくさん見えるよ!」
煌太は夕飯の片付けをしていた遊羅を台所から連れだし、二人の自室へ連れていく。その日は煌太の祖父母、つまり遊羅の両親は親戚の結婚式でいない、久しぶりの二人きりの夜だった。「ほら、みてー」
窓際のベッドによじ登り、煌太は背伸びをして外を指指した。
そこには今までに見たこともないような満天の星空。「あっ!」
煌太の目の先で流れ星が流れた。
「パパ、今のなあに?」
煌太は驚きに目を輝かせて遊羅に尋ねる。
「銀河鉄道・・・かな・・・」
「ぎんが・・・てつ・・・?」
思わず口をついたその言葉は彼女の受け売りだった。死者が乗るという銀河鉄道。遊羅が流れ星を見つけた時、彼女が言っていたのだ。もしかしたら、あの時から彼女は、自分の体のことを気付いていたのかもしれない。
「うーん、お星さまの列車って感じ・・・かな?」
「お星さまの列車っ!」
いつもキラキラした煌太の顔がより一層輝いた気がした。
「ママは今も銀河鉄道で旅をしているのかもね・・・」そんな小さな遊羅の独り言は耳に入らなかったのか、煌太は必死に流れ星を探す。
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