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□ハルシオン
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「今日は何の買い物なんですか?」
街を珍しそうにキョロキョロと見ながらクレラは言う。
「あぁ、刀鍛冶に刃の綻びを治してもらうのと・・・「っ!また戦いに行くんですか?」」
レニスが言い終わらないうちにクレラが先程の笑みを消して言う。
「街の外に、盗賊が出てるらしい。旅隣の王国から来た旅商人が先日襲われたそうだ。」
レニスはぎゅっと手を握りしめた。
「強い者が弱い者を痛めつける世の中は嫌いだ。」
少年の顏に影が落ちるのをクレラは見逃さなかった。「・・・・・・。レニス様?」
目元を隠した彼女は、胸の前で手を組み、足を止めた。
「・・・・・・しが」
それは聞き取れないほど小さな声で、レニスが聞き返そうとしたその時、
目元まで被ったクレラのフードが風にふわりと舞った。
「私があなたを守ります。だから、」

彼女の力強い目元が露になる


「何があろうと必ず私の元に帰ってきて下さいね」


最後に微笑んだ彼女の頬を日に輝く翡翠色の髪が撫でた。
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